どの子も子どもらしくいれるように

病院で長期治療を受けている子どもたちにも楽しめる時間をつくりたい思いからバルーンを通して支援活動をはじめたNPO法人ぷくぷくばるーん・運営代表の大竹由美子さん。その活動をはじめた経緯についてお伺いしました。

 

病院で成長する時間も「子どもらしく」

長期入院している子どもたちの実情が詳しいのには理由がありました。それは大竹さん自身、お子さんが長期治療を受けていたから。4歳から白血病で闘病していたそうです。骨髄移植、肝臓移植も行い、お子さんはもちろん、ママである大竹さんも一緒に病気と闘っていたそうですが、残念ながら2007年、12歳になる直前に短い生涯を終えてしまいました。一人息子でもあるお子さんを亡くした喪失感は計り知れなかったと思います。

 

 

その後、大竹さんは長い期間、病院にいたからこそ、息子は病院で成長していたことに気付いたそうです。一生懸命に治療と向き合っていた頃には気付かなかったけれど、その立場から離れて、第三者の目線となったことで成長していたことを思い出し、子どもの成長を支えてくれた病院へ恩返しがしたい思いから、ボランティアの道に行きつきました。そして、息子さんが入院していたとき、ともに子どもの闘病を支えていた親や当時支えてくれた病院スタッフとともに、子どもが子どもらしくいれる時間をつくりたい思いで「ぷくぷくばるーん」を立ち上げました。

 

 

第三者の立場でいろんなケアを

入院中の子どもは治療が第一です。それが一番であり、怠ると命に関わります。でも一方で、子どもは成長しています。その成長の中ではドキドキしたり、ワクワクして、心から楽しいと思える時間をもつことも大切だと思います。そんなドキドキとワクワクの時間を、バルーンを通じて感じてもらえたらと考え、活動をはじめて今年で15年経ちました。

 

 

ここ10年くらいでどこの病院にも保育士さんが入りましたが、一人の保育士が大勢の子どもたちを見ていることが多いそうです。また、子どもに付き添うママも24時間付きっきりで子どものケアをするため、とても疲弊しています。だからこそ、いろんな側面でケアできたらいいなと思っています。忙しい病院スタッフが手をかけられないところは第三者が役目を担う。私たちはあそびを通して楽しい時間を提供し、普通の子どもたちと同じような時間を過ごして欲しいと願っています。

 

 

寄り添うことを大切に

「ぷくぷくばるーん」の活動をしていく中で一番に心掛けているのは「元患者家族」というのは言わないこと。同じような状況にいたからこそ気持ちは分かります。でも、その気持ちが押し付けになってしまうことも。その事由の当事者ではないので、なるべく普通に。ただ寄り添うことを大切にしています。

 

-取材記事