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知育ismな「人」

言葉の垣根を越え、心を通わせる〈原山保育園〉

 

見晴らしのよい、坂の途中にある原山保育園。こちらの園は場所柄、多国籍のこどもたちが多く通っています。公立の保育園とあり、インターナショナルスク-ルではないので多言語に対応できる環境ではないのですが、子どもはもちろん、通わせている保護者が安心できる場所づくりをしていることについて取材してきました。

 

家庭に合わせた寄り添い方

多様な生活環境、生活リズムをもつ家庭の子どもが多いこの園では、園で過ごす時間と家のリズムの差を少なくするよう、特に1歳~年少の子どもたちにはひとりひとりに合わせた日課で対応しています。そして成長とともに次は集団での生活に慣れるように時間を合わせていき、その次のステップ(小学校)へとなるよう、近隣の小学校や中学校とも連携をとり、細やかな支えをしています。

そこには、子どもの成長を支える保護者が多国籍であり、日本文化に慣れていないからこそ、保護者へのフォローが必要と感じているから。そのような環境に置かれている家庭が多い園だから、加藤園長は「まずは受け入れる」ことを先生方に伝えているそうです。そして、「保育者としてできることは?」と考えることが大切だと話されていました。

 

他国の文化に合わせる・寄り添う

保護者が他国の文化をもつ子どもたちが入園や入所の頃は日本語を苦手とする子どもが多いです。ですが子どもは順応性も高く、園に通ううちに日本語での日常会話もできるようになっていきます。その反面、保護者は日本語に不慣れな方もいます。そのひとつとして、園からのお便りには必ず平仮名のルビを記載。漢字は難しくても平仮名は読める方が多いから、とのことでした。遠足などの通常保育と違う行事では、文字(お便り)が理解しにくい保護者に対しては、お迎え時に直接コミュニケーションをとっているそうです。日頃の生活においても様々な違いを感じることもあるそうです。一例として、お茶が飲めない文化を持つ子どもがいたケースも。通常は園としてはお茶を提供しているそうですが、その子どもに対してはお水を出す個別の対応で。また、保育士さんたちもそれぞれの国の言葉で挨拶をして言葉での保護者側の言語での交流もしているとのこと。いろいろな形で相手の文化に合わせ、寄り添うことを大切にしているそうです。

チャンネルを合わせる大切さ

今年は世界中がコロナの恐怖に怯えることとなりましたが、日本語に不自由を感じている保護者から不安の声も多かったとのこと。テレビやメディアを通してたくさんの情報が溢れているからこそ、自分が今いるところは大丈夫なのか分からないことが、より不安を掻き立てられたそうです。そんなときも保育者として正しい情報を届け、少しでも安心してもらえるように働きかけていました。

国の違いを超え、家庭の違いに合わせてもらえるのは当事者にとってありがたいことだと思います。加藤園長は「相手のチャンネルに合わせるのが大切」と笑顔で話されていましたが、たくさんの子どもたちを見守る環境で個々に合わせた支援は想像に余りあることだと感じました。

 

日々の生活を彩りと支援

相手に合わせながらも、園としては毎年秋に〈おはぎの会〉を催すことで食を通して日本文化を伝えているとのことでした。(今年度は中止となりました)

また、年長さんに向けては〈命の授業〉を行うことで、ひとりひとりが大切な命、かけがえのない存在であることを伝えています。幼少期から自分自身を大切にすることを知ってもらうことで環境の違いで起こる不幸な出来事を少しでもなくしていけるよう、働きかけをしているとのことでした。

加藤園長は、「今はたくさんの情報が簡単に手に入る時代。だからこそ、まずは目の前の子どもを信じ、惑わされないこと。もしも子育ての壁にぶつかったときは一呼吸して、『今は何を学んでいる時間なんだろう?』と考えてみること。そして、その悩みは母親一人で抱え込み、苦しまないようにしてください。私たちに話してください。」と話されていました。

 

 

いろいろな違いはあっても、同じ園に集う子どもたちみんなに幸せな人生を送ってほしい。子どもを育てる保護者にも笑顔で過ごしてほしい。そんな温かな気持ちに包まれていた保育園でした。