大水イズムとは | 親の本当の役目って、子どもの話を「聴いて」、一緒に「感動」して、「共感」することなんじゃないかな。

「ism」とは「主張」のこと。その人が生きてきた中で感じた人生観や学びを編集長 相田が対談形式でお伺いするコーナー。様々な分野で活躍される方だからこそ多様な考え方を聞くことができます。

 

大水イズムとは
親の本当の役目って、子どもの話を「聴いて」、一緒に「感動」して、「共感」することなんじゃないかな。

小学校の校長先生だった大水さん。定年した今は、教育委員会からの委託で幼稚園にて教育アドバイザーとしてご活躍されています。幼児教育に関心が深まるきっかけがあったのでしょうか?

大水●小学校校長をしている時にね、一年生の担任の先生が<あそびを重視した幼稚園からきた子どもたちの伸びがいい!>と言っててね。そこから幼稚園との連携を取り始めたのが最初かな。そこで分かったことがあってね。あそびを通して学んだこと。興味・関心を高める活動を積極的に取り入れてたんだよね。それが小学校になって、もっと知りたい!わかるようになりたい!という充実感を得られるようになり、伸びがいいということが分かったんだよ。それはまさに生活科と結びついている。いろんなあそびを通して、学びの芽が小学校でも生きるような生活科を発展させなくちゃいけないと感じたよ。

 

親も「どうして?」の視点を持つ

相田●「生活科」とは、小学一、二年生向けの教科。自分と社会とのかかわり方、自分と自然とのかかわり方、様々な体験を通して活動・表現を学ぶということですよね。それって家庭でも当たり前のように日常で体験していますよね?

大水●そうそう。そこで大切にして欲しいことがある。幼児期からの「どうして?」をどう受け止めるか。お母さんたちも忙しいのは分かるけれど、子どもたちの「どうして?」に、「あなたはどう思うの?」
そして話を聴いた後で、「そうなんだね。ママはこう思うけど。」という会話をどれだけ返しているか。知的好奇心がものすごく高まっている時期だからこそ、それを親としてどう受けてあげるかは大事だね。

そこで気を付けることは、絶対に答えは、教えるべきではないということ。答えは、自ら導き出したり、調べる方法を一緒に探すことが大事だと思う。たいしたことじゃないでしょ。でも、その「どうして?」に応えることで、子どもの知的好奇心を満足させたり、知的能力を高めていくのだと思う。そのためには、親自身も「どうして?」の視点を持って、それを子どもに投げかけて欲しいと思う。

生まれた時は、首が座った!目が合った!と小さな成長を大喜びしたでしょ。こんなちっぽけなことを。今は、このちっぽけなことをみんな無視するでしょ。毎日、子どもたちは同じように進歩している。それを見て喜んであげてください。そして、子どもの話を「聴いて」、一緒に「感動」して、「共感」すること、それが親の役目なんじゃないかな。子どもはその中で自分を認めてくれている。愛されていると感じてる。僕はそう思います。

(2019年夏号の記事より転載)

 

大水正孝 (おおみずまさたか)
定年を迎えるまで教員生活一筋。定年後も教育現場から必要とされ、講演会も行う。名古屋市の幼稚園にて幼児教育アドバイザーとして、お母さんたちの話を聴いている。その他、地域活動にも力を入れ、現在10個の肩書きを持つ。

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