子どもがおもちゃを壊したとき「また買えばいいじゃん。」というのを耳にすることがあります。背景として誕生日やクリスマス等に複数の財布からおもちゃが手に入りやすいのかもしれません。では、おもちゃの数が少ないと楽しさも少ないのでしょうか。実は、子どもはひとつのおもちゃからたくさんの遊び方を見つけることができる遊びの名人。そんな創意工夫は子どもの脳にどんな働きかけがあるのか。今回はものを大事にする心も育てられる〈賢いおもちゃの与え方〉について紹介します。
与える量は腹八分目
腹八分目というように量も物足りなさを感じる程度が、むしろ想像力や創造力で遊びの意欲を掻き立てます。おもちゃと遊びの出張交流サロン『おもちゃの広場』では1つのおもちゃから様々な遊び方があることをお伝えしています。例えば「どんぐりころころ」(写真参照)のどんぐりは、カラコロと音を立てながら坂を下っていき、最後にはコテッと倒れるところが魅力的なおもちゃです。どんぐりがコロコロ下る姿を眺めているほかには、人形や本物のどんぐりに見立てたり、積み木と融合して建物の屋根瓦する遊び方も。また、おもちゃへの関心度を見計らって、使っていないおもちゃは隠す(収納する)のもお勧めしています。多すぎないからこそ、工夫をして新しい遊びを発見する楽しさが生まれてきます。
脳と心の成長
1つのおもちゃから様々な遊びを子ども自身が見つけていくことで脳の前頭前野は発達していき、〈行動力・判断力・道徳心・創造力・意欲〉が刺激されます。また、ままごと遊びなどを通して、〈会話による直接的なコミュニケーション能力向上と感情コントロール〉も高められます。シンプルなおもちゃ、1つのおもちゃは心と脳が育っていく可能性に溢れているのです。
記事監修:鈴木佐和子
おもちゃコンサルタント/木育インストラクター
0歳からの成長・発達とおもちゃの関わりから、高齢者のアクティビティー、ヒーリングおもちゃなど幅広い視点でおもちゃと遊びの出張交流サロン『おもちゃの広場』で紹介しています。木育(もくいく:木が好きになる人を育てる活動)おもちゃの広め手として愛知県下で活動中。
『おもちゃの広場』では主に木のおもちゃを多く紹介しています。木の香りを嗅いだり、木目を見たり、触って肌触りを確かめたり、木をたたいた時の心地よい音が癒しとなりリラックス効果も生みます。五感を刺激するような遊びもして、豊かな人間形成や創造力を育める子どもの持っている力を伸ばしていきましょう。