―「たとえ身体は病気であっても、心まで病となることはない。」
とある勉強会に参加した際、アメリカの女性が話されていた言葉に深く共感し、病院で長期治療を受けている子どもたちにも楽しめる時間をつくりたい思いから支援活動をはじめたNPO法人ぷくぷくばるーん・運営代表の大竹由美子さん。
コロナ禍となり、現在病院での活動は難しくなっていますが、それまでの活動とそこに至るまでの話を伺いました。
「本当の普通、本当の子どもらしい時間」を大切にしたい
対象となるのは長期入院をしている子どもたち。長い期間の入院となると、日々の辛い治療だけでなく、楽しむ時間も減り、より辛さを感じるそうです。もちろん、治療にかける時間は健康になるために大切なことなのですが、子どもたちの日常は、治療・検温・投薬…の繰り返し。そんな毎日が普通。でも、本当の意味での普通らしさ、子どもらしさを闘病中の子どもたちにも持っていてほしい願いからこの活動は始まっています。
病院の環境でできる楽しさを考えて
私たちが怪我や体調不良などで病院に行く際、最近は外来ではWi-Fiの使える環境も増えていますが、入院病棟では未だにその環境が整っていないところも多いとのこと。本を読んだり、絵を描いたりすることはできますが、YouTubeを視たり、動画を楽しんだりするのはWi-Fi環境がないと難しいものです。また、治療や食事以外で入院中の子どもたちと関わり、楽しい時間を提供できる人材はおらず、「あそび」に対するマンパワーが不足しているのが実情。そこで、大竹さんはどの子でも楽しめる時間を…と考え、バルーンを使ったあそび時間を提供することにしたそうです。
さわる・あそぶことで得られるドキドキと達成感
「ぷくぷくばるーん」として、以前は常時100名ほどが登録。多くの大学生ボランティアスタッフが活動していたそうです。(現在はコロナ禍の為、活動休止)
長期入院の子どもたちが多いところをメインに、愛知県内にある7つの病院へ定期的に訪問しての活動。ボランティアスタッフへは毎月講習会を行い、事前にバルーンが作れるように練習をしてから派遣していました。
動ける子はもちろん、自分で動くことのできない子や寝たきりの子、目の見えない子や、ときにはICUに入っている子のところにも訪問。季節に応じたバルーンを作成することで季節を感じてもらえるよう、桜やこいのぼり、夏野菜など様々なものを作成。自分で作ることができる子には作る達成感を。自分で作れない子でもバルーンに触れることで感じるドキドキを。そして、すべての子どもたちにワクワクした気持ちを感じてもらえることを大切にしていました。
あそびは大事
本や絵を描く以外だとゲームくらいになってしまいがちな入院生活。バルーンを作るには頭で考え、手を使います。そして、身体を動かす経験が少ない子どもたちも楽しめるよう、車座になり、バルーンバドミントンもボランティアスタッフとともに楽しんでいました。ボランティアスタッフは大学生が多いため、子どもたちにとっても近い感覚であそべたのでは。病院以外の人と笑い合えることが大切な時間だったと思います。
楽しむ心をひろげて
コロナ禍となり、2年間病院に行けていません。(入院してる子どもたちが)どう過ごしているのか、とても気になります。ぷくぷくばるーんとしての活動が現在できませんが、闘病中の子どもたちを笑顔にする活動は続けていきたい思いから、現在は『旅する人形プロジェクト』を行なっています。(*「旅したい心」を叶えてくれる人形をご覧ください。)
『旅する人形プロジェクト』の記念すべき一回目の旅は雪山に行きたいゆうや君。そして二回目は東京在住・猫島に行きたいあやかちゃん。大竹さんはこれからも様々な形で子どもの心をワクワクさせる活動をしてくれるのでしょう。