「当たり前」に感謝をした日
~愛知県立東郷高校OBと後輩たちの活動から
今年の8月、東郷高校のOBとその後輩たちの6名でSDGs17項目に取り組むチャレンジを行いました。今回はそんな彼らがこの活動を通じて得たものや感じたことなどを取材してきました。
(左から順に、久々野さん・横井さん・秋田さん・村井さん・李さん)
一割しか知らない現実を打破したい
「SDGsについて知る機会を得たのは2020年、高校時代、学校のポスター掲示からでした。調べていくうちに日本では1割の人たちしか内容を理解した上で取り組んでいる人がいない現状もわかりました。」そう話す村井君。彼はその出会いをきっかけとして、SDGs 活動の理解を日本でも広げていけるようにしたいと考え、誰もが簡単に取り組める活動をしたいと考え始めたそうです。
吹奏楽部の仲間たちとともに
これまでも「誰もがやっていないこと」に挑戦していた村井君。現在は大学生ですが、彼を慕い、母校でもある愛知県立東郷高校・吹奏楽部の後輩たち1年生から3年生の5名が集まりました。今年の5月からメンバー全員でいざという時の対処法など、生活する上でのリスクも考えて綿密に計画を練りました。そして高校生でも安心して活動のできる場を求めて和歌山県の沖ノ島という無人島に決定。また、コロナ禍に県外へ出るという不安を少しでも払拭できるよう、移動中の感染対策も万全にして、SDGs 活動に取り組みました。
「当たり前」のありがたさ
沖ノ島では水も電気も無い生活。自分たちの力で水をろ過し、火もおこす。食料は持参した廃棄予定の野菜と自分たちで釣った魚を調理しました。日中のゴミ拾い活動では30分の間にペットボトルだけで600本も回収したことで、いかに海の自然が危険に晒されているかを肌で感じました。このように様々な活動を通じて「自分たちでもできるSDGs活動」にチャレンジしていきました。
あっという間に集まったゴミの山
無人島での真っ暗な夜を過ごす中、遠くに見える和歌山市内の灯りを眺めながら感じたのは、当たり前のありがたさ。当たり前だと思っていた生活だけど、世界にはそのように暮らせる人ばかりでないこと。食べ物の好き嫌いだって、食に飽和している国でなければそんなことは言えないこと。今回の活動を通して、どれもが当たり前ではないと感じるとともに、これまで当たり前に感じていた日々に感謝しました。
伝えたいこと
身近な生活の中にSDGsの種は転がっています。電気をきちんと消す、冷蔵庫の開け閉め、水の管理など。一人ずつが意識して行動することで地球は救われます。人間がいるからダメな星とならないよう、世界中の人が一丸となって取り組み、未来の地球を守っていけるようにしたいです。そして、当たり前のことに感謝をもち、みんなが行動していくことでSDGsはより浸透し、良い社会へと変貌していくと思っています。
人々の生活、そして地球を守るための「一歩」を踏み出した6人の力。今回の活動からそれぞれが更なる思いを募らせたそうです。「誰でもできる・誰もができるSDGs」に挑んだ彼らの活動が多くの人に伝わり、一人ひとりの心掛けで豊かな地球と多くの人の笑顔を作っていけると思うとともに、日々の生活に感謝の心をもって過ごしていきたいと深く感じました。
《今号のテーマ:子育てのふつうって?》
ここでは現役高校生&大学生の彼らが「ふつう」という言葉から感じることについて伺いました。
僕たちが思う「ふつう」とは
普通とはそれまでその人がやってきたことや見てきたこと、感じてきたことがその人の普通をかたどっていると思います。一人ずつの物差しをちょっとずつ合わせていくことで格差や差別もなくなっていくのでは。そして、普通という固定概念を壊した先にはそれぞれの個性が溢れ、より良い世界が生まれ、閉ざされた部分にも光が当たることで差別もなくなっていくと考えています。